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給与計算の疑問質問

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ストックオプションは給与(賃金)ですか?
  通達(平9・6・1基発412号)によりますと、労働の対象ではなく、労働基準法第11条の給与(「賃金」のことを「給与」という。以下このページにおいて同じ)には当たらないとのことです。従いまして、給与の一部として取り扱うことは24条違反になります。ただし、労働基準法に規定する給与ではありませんが、付与されるストックオプションは労働条件の一部でありますから、ストックオプションの制度がある以上就業規則に記載する必要があります。
給与支払いの5原則とは何ですか?
  労働基準法24条で、いわゆる給与支払いの5原則を規定しています。
給与支払いの5原則とは、通貨直接全額毎月1回以上一定の期日を定めて労働者に支払わなければならないというものです。
通貨払いの例外としては、労働者の同意を得て、銀行その他の金融機関に対する労働者本人名義の預貯金口座への給与や賞与の振り込みや、証券会社の証券総合口座への賃金の払い込みすることができます。この場合の同意は、労働者の意思に基づくものであれば指定であってもかまわないということです。
給与の振込については、本人名義の銀行口座に振り込むことが多いと思われます。その場合は、入社した際に「給与振込同意書」などに本人に記載してもらって提出してもらう用の方法が一般的です。
直接払いについて、労働者の親権者その他の法定代理人に支払うこと、労働者の委任を受けた任意代理人に給与を支払うことは、いずれも24条違反になります。ただし、使者に対して給与を支払うことは差し支えありません。
全額払いの例外としては、給与計算の際、法令で別段の定めがある所得税や住民税の控除、社会保険料や雇用保険料の控除等をすることができます。
また、購買代金、社宅・寮費、社内預金、組合費等事理明白なものについては、労使協定を締結することによって給与から控除することが可能になります。給与の控除に関する労使協定については労働基準監督署への届出は必要ありません。
給与計算の際の端数については、どのように取り扱えば良いのでしょうか?
  1.給与計算の際の5分の遅刻を30分の遅刻として給与カットをするというような処理は、給与の全額払いの原則に反し、違法になります。
しかし就業規則に定める「減給の制裁」として、労働基準法に定める範囲内で行う場合は、全額払いの原則に反しないものとして取り扱われます。
2.割増給与計算における次の事項は24条(給与の支払い)、37条(割増給与)違反としては取り扱いません。
 (1)1ヶ月における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各々の時間数の合計に
  1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に
  切り上げて給与計算すること
 (2)1時間当たりの給与額及び割増給与額に円未満の端数が生じた場合、
  50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げて給与計算すること
 (3)1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増給与の総額に1円未満の
  端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げて
  給与計算をすること
3.給与計算において、1ヶ月の給与支払額における端数処理を次の方法で行う場合は、24条(給与の支払い)違反としては取り扱いません。
  (1)1ヶ月の給与支払額(給与の一部を控除して支払う場合には控除した額。)に
  100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に
  切り上げて給与計算をして支払うこと
  (2)1ヶ月の給与支払額(給与の一部を控除して支払う場合には控除した額)に1,000円
  未満の端数を翌月の給与支払日に繰り越して支払うこと (昭和63.3.14 基発6115号)
賞与と給与はどのような違いがあるのですか?
  賞与とは、定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないものをいいます。定期的に支給されかつその支給額が確定しているものは、名称の如何にかかわらず、これを賞与とはみなさないということです。
前月に払いすぎた給与を当月の給与で控除することは、
全額払いに反してできないのでしょうか?
  例えば、4月20日に4月分の給与を支払う場合、4月22日から25日までの欠勤をした場合、5月の給与で欠勤分の過払い給与を清算する程度は給与それ自体の計算に関するものであるから、全額払いには反しないとされています。(昭23.9.14 基発1357号)
新給与決定後、過去に訴求して給与を支払うことを取り決めましたが、
退職者に対しても訴求して支払う必要がありますか?
  退職者に対しても訴求した給与を支払う必要があるかどうかは会社が自由に規定することができますので、遡及給与の支払い対象を在職者のみとすると規定しておけばよいのではないでしょうか。
平均賃金とは何ですか?
  平均賃金とは、解雇予告手当、休業手当、休業補償、減給の制裁等の基準となる金額です。
その算定方法は、3ヶ月間の給与総額をその期間の総日数で除した金額になります。ただし、給与が労働した日若しくは時間によって算定される場合や、出来高制や請負制によって定められた場合は、3ヶ月間の賃金総額を3ヶ月間の労働日数で除した金額の100分の60によって算定された額と原則の金額と比べてどちらか高い方になります。
3ヶ月の起算日は、算定すべき事由の発生した日から遡ることになりますが、給与の締切日がある場合は、直近の給与締切日から起算します。
日曜日に出勤しその代りに代休を与えています。
給与計算の際は日曜日の出勤に対しなにも支払っていませんが問題ありませんか?
  代休を与えたということであれば、日曜日が法定休日であれば休日出勤となり休日割増給与を支払う必要があり、日曜日が所定休日であれば、変形労働時間制をとっていない限り、時間外割増給与を支払う必要があります。ただし、代休を実際に取得した日にはその日の給与を減額します。同じ月であれば結果相殺となり、休日出勤の場合は0.35を、時間外の場合は0.25のみを支払うことになります。
振替休日を取った場合は、出勤した休日は労働日となり、振り替えた平日が休日となります。代休の場合は、出勤した休日はただの休日出勤となりますので注意が必要です。
1カ月単位の変形労働時間制とは?
  就業規則又は労使協定により、1か月以内の一定の期間を平均して1週間当たりの労働時間が週の法定労働時間を超えない定めをした場合において、特定された週及び特定された日において法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
週の法定労働時間を超えない場合ですから、44時間制の特例事業場の場合は一定の期間を平均して1週間当たり44時間を超えないような定めができます。たとえば、31日の月であれば194.8時間の枠内で1カ月単位の変形労働時間制を行うことが可能となります。
また、特定された週及び特定された日ということから変形労働時間制の新たな期間が始まる前には、週及び日の労働時間を特定しておく必要があります。また、期間には当然起算日を明らかにしておく必要があります。
就業規則については、常時10人未満の労働者を使用する事業場の場合は、就業規則作成義務がなく、これらについては、就業規則に準ずるもので定めることで1カ月単位の変形労働時間制は採用することができます。
1年単位の変形労働時間制とは?
  労使協定により、1か月を超え1年以内の対象期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない定めをしたときは、特定された週において40時間を超えて、特定された日において8時間を超えて労働させることができる制度です。
(労使協定で定める事項)
・1年単位の変形労働時間制の対象となる労働者の範囲
・対象期間(1か月を超え1年以内の期間)
・特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間)特定期間の長さについては定めがないが厚生労働省は3〜4ヶ月といっています。
・対象期間における労働日及び労働日ごとの労働時間
 (対象期間を1か月以上の期間ごとに区分するとした場合は、
 :区分した最初の期間の労働日及び労働日ごとの労働時間
 :最初の期間を除く期間の労働日数及び総労働時間(その期間の初日の30日前までには、過半数代表者の同意を得て、労働日及び労働日ごとの労働時間を設定する必要あり)
・就業規則に起算日の定めがない場合は、起算日
(その他の要件)
・対象期間が3ヶ月を超える場合は、労働日数の限度は280日
・1日の労働時間の限度は、10時間
・1週間の労働時間の限度は52時間
 (上記の場合において対象期間が3ヶ月を超える場合は、
 :対象期間において連続して48時間を超える週が3週以下であること
 :対象期間を3ヶ月毎に区分した各区分期間に48時間を超える週が合計3週以下であること
・連続して労働させることができる日数の限度は、6日間
(特定期間の場合は、1週間に1日の休日が確保できる日数=最大12日間)
1週間単位の非定型的変形労働時間制とは?
  小売業、旅館、料理店、飲食店であって常時30人未満の労働者を使用する事業場は、労使協定を締結することによって、1週間40時間の範囲内で、1日の労働時間を10時間まで設定することができる制度です。
常時10人未満の労働者を使用する事業場は、週44時間の特例事業場が適用できる場合があるが、1週間単位の非定型的労働時間制を採用する場合は、週40時間の原則が適用されます。
1週間の各日の労働時間の通知は、1週間の開始する前に書面で行う必要があります。ただし、緊急でやむを得ない場合は、労働時間を変更しようとする日の前日までに書面により労働者に通知することで労働時間を変更することができます。
フレックスタイム制とは?
  就業規則(常時10人未満の事業場は就業規則に準ずるものでも可)により、始業・終業の時刻を労働者の決定にゆだねることとされた労働者について、労使協定で下記の事項を定めた場合は、労使協定で定めた清算期間を平均して、1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、1週間又は1日において法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
(労使協定で定める内容)
・フレックスタイム制で労働させることができる労働者の範囲
・清算期間
・標準となる1日の労働時間
・コアタイム(必ず労働しなければならない時間帯)を定める場合はその時間帯の開始終了時刻
・フレキシブルタイム(選択により労働することができる時間帯)に制限を設ける場合はその時間帯の開始・終了時刻
1カ月当たりの総労働時間の枠は、1週44時間制の特例事業場の場合は、清算期間を平均した1週間当たりの労働時間を44時間とすることができます。
1週44時間特例事業場とは?
  常時10人未満の労働者を使用する商業・映画演劇業(映画の製作の事業を除く)・保健衛生業・接客娯楽業については、1週44時間、1日8時間という労働時間制度の運用が認められています。また、1カ月単位の変形労働時間制やフレックスタイム制での44時間制は認められていますが、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制は認められていません。
別表第一における8号(商業)、10号(映画・演劇業)、13号(保健衛生業)、14号(接客娯楽業)の4種類の事業を特例事業といい、制定当時は週46時間制であったものを、平成13年4月1日からは週44時間制になったものです。

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